第7章 Coke+ポンパドール -Fseries-
体温計を仕舞って、ポケットからスマホを取り出した。
「でもお…」
「もしも、風邪うつしたらどうするんだよ」
「え?」
「年末の仕事、嵐が全員ダウンなんて洒落になんない」
「…そうだけど…」
「それに、智の体が心配だから。忘年会よりも、病院ね?」
「潤…」
「智が立ってる場所か?なんて…そんなふうに考えるってことは、頭がいかれてるから強制的に病院です」
「え…?」
「立ってていいに決まってんだろ」
きょとんと智は俺を見上げた。
「…不安な時は、体が弱ってる時。ずっと体調良くなかったんでしょ?」
ズバッと言うと、智は助手席に深く沈み込んだ。
「うう…」
「逆に、不安になってると、体が弱ってくることもあるけどね」
「…うん…」
「だったら、手っ取り早く体を治してしまって、早く元気になって。じゃなきゃ、俺、死んじゃう」
「えっ!?」
「…智が心配で…一人にしとけないでしょ…安心して仕事できなくなるじゃん…」
「潤…」
「それに、あいつらも海外楽しみにしてるのに、風邪今から引かせたら可哀想じゃん」
「うう…」
「だから、病院行って、家で大人しく寝よう?」
「…わかった…」
俺のかわいこちゃんは…
「智…」
「え?」
繊細で…我儘で…
「愛してるよ」
世界で一番大切な、俺の宝物
「…俺も…」
ひとつキスをすると、世界一幸せそうな笑顔を見せてくれた。
この笑顔のために、俺は生きてる