第6章 シュガー・ビート
枕を取ると、どうしていいかわからないって顔して、顔を逸した。
「いくよ…?」
「ん…」
「痛かったら言ってね…?」
「わかった…」
小さい小さい声だけど、やめるって言い出さないのがすごいと思った。
俺だったら…逃げ出すんじゃないかな…
だって、怖い。
「…智くん…?」
「ん…?」
「怖く…ない…?」
そう聞くと、ゆっくり智くんはこっちに顔を向けた。
「…怖く、ないよ…?」
「ほんと?」
「だって、翔ちゃんだもん…」
「…え?」
「翔ちゃんは…俺の嫌がること、しないもん…」
そう言って両腕を広げた。
「来て…翔ちゃん…」
今まで見た…
どんな映像よりも、どんなものよりも
卑猥だった
蕩けるような顔をして、月の照らす闇の中
俺を誘惑する大野智
こんな顔見れるの、俺だけなんだ
俺が…大野智の唯一の男なんだ
そう思ったら、何もかも消し飛ぶほど興奮して
その細い体を抱きしめて、一気に智くんの中に自分を突き立てた。
「う…あっ…」
苦しそうなうめき声が聞こえても、止まれない。
ゆっくりと熱と圧に逆らうように、ねじ込むように、智くんの体に自分を埋めていく。
「智…智くん…」
子供みたいに、名前を呼びながら。