第6章 シュガー・ビート
ああ…強いな…
この人は、弱い
弱くて脆くて…今まで芸能人やってたのが奇跡みたいなもんで
作り物や紛い物だらけの芸能界で、人の言葉を真正面から受け止めて、人の心を真正面から受け止めて
黙って傷ついていたんだ
どこからが本当で、嘘なのかわからなくなって…
ひとりで泣いてたんだ
だからこそ活動休止に踏み切った。
俺たちには、それがよくわかったから。
だから、嵐よりも智くんを優先したんだ。
だけど、一旦決めたことに対しては…とことん強い。
自分で決めたことだから。
俺が言ったからじゃない。
智くんが、決めたことだから。
俺たちが…俺が見ていた背中は、いつも広かった。
そして、愛おしい
「智くん…」
閉じたまぶたが、少し震えるのを見ながら唇を重ねた。
「…好きだ…」
キスしながら囁いて、その細い体を抱きしめた。
「好きだよ…智くん…」
「ん…」
智くんの腕が、俺の腰に回しかけられて。
その瞬間、少し口が開いて。
温かい舌が、俺の唇を舐めていった。
嬉しくて、俺も智くんの唇をぺろりと舐めてみたら、少し智くんは笑った。
「くすぐったい…」
笑ってる唇にまた舌を這わすと、少し体が逃げようとする。
ぐっと腕に力を入れて引き寄せた。
「もお……きもちいい…」
鮮やかに、あの日の智くんの顔が脳裏に蘇った