第6章 シュガー・ビート
シャワーを終えて、バスローブのままリビングに行くと、智くんがソファでぼけっとしていた。
「智くん…?」
「あ、終わった?」
「うん。次、行ってきなよ」
そう言って、手を差し出すと、ぎゅっと手を握ってくれた。
引っ張り上げると、すくっと立ち上がった。
「じゃー行ってくる」
「おう」
にっこり笑って、ふと握った手を見た。
「温かいね。翔ちゃんの手…」
「そりゃ、風呂上がり…」
「ううん…いつでも、温かいよ。翔ちゃんの手は」
「そう…?」
「じゃ、行ってくるね」
「おん」
パタパタとスリッパの音を立てながら、リビングを出ていった。
「…随分落ち着いたな…」
やっぱ、覚悟決めると腹が据わるんだよな、あの人…
「よし…」
ガラステーブルに置かせてもらってた、スマホを手に取った。
「調べるぞ…」
調べないと、多分できない。
だって、あんなところにあんなもの挿れるんだからな…
ちゃんと調べないと、智くんの体に傷つけることになるかもしれないし…
もう最悪、だめなら今日は…ぎゅうって抱きしめているだけでもいい。
そう、自分の下半身に言い聞かせた。
…言うこと聞かないけど…
「明日オフで良かった…」
気合を入れて、調べ始めた。