第6章 シュガー・ビート
パーの手を見つめながら床に崩れ落ちてしまった。
「卑怯…かな…?」
「ああん!?」
「だって、じゃんけん必死になってる智くん、かわいかったんだもん…」
「んがっ…」
またきゅううって真っ赤になって、かくんと首が前に折れた。
智くんの動作は止まった。
「え…?智くん…?」
慌てて肩に手を置いたら、ぶんっと頭が上を向いた。
「うわっ…」
智くんの猫っ毛が俺の鼻先を掠めていって焦った。
「かわいいかわいい言うな!翔ちゃんのほうがかわいい!」
真っ赤になって、否定してんの…
「ぶっ…」
「な、なんだよお…」
「ふふ…でも、じゃんけん負けたからね?」
「ぐ…ぐぐぐ…」
「かわいいんだから…もう…」
また真っ赤になってる智くんの腕を取って、立ち上がらせた。
「お風呂…入る…?」
「ん…」
諦めたな。
「翔ちゃんも入るだろ…?」
「うん…その…え?いきなり…?」
一緒に入っちゃって良いのかな…
俺、我慢できないと思うけど…
「あっ…い、一緒にじゃないからなっ…」
なんて言って、また真っ赤になってから、そっと腕を握る俺の手を解いた。
「さ、先に…入ってきて?」
「あ、ああ…うん…」