第6章 シュガー・ビート
「文句言うなよ…?負けたら下だからね…?」
「そっちこそ…勝負だからね…?」
ソファの前で、仁王立ちしながらお互いの目を真っ直ぐ見つめてる。
「さいしょはぐーっ」
勢いよく、グーを突き出し。
「じゃんけんぽんっ!」
パーとパー…
「あいこでしょっ!」
チョキとチョキ…
「あいこでーしょっ!」
グーとグー…
「あーいこーでしょぉぉおっ!」
パーとパー…
そう…俺たちは、じゃんけんに滅法弱いのだ。
なんでもない時は、凄い勝つんだ…
でも、絶対的なピンチなときに限って「年上ふたりはじゃんけんに弱い」が発動される。
「はぁっ…はぁっ…」
「やるじゃん…」
「そっちこそ…」
「次こそ、勝負決めるからね!?」
「望むとこだっ!!」
でもさ、絶対的なピンチのときにじゃんけんの弱い人がふたりでじゃんけんしてもさ…
勝負つかないんだよ…
「んだーっ!なんでこんなにあいこが続くんだーっ!」
智くんはムキになって、地団駄を踏んでいる。
すごい。久しぶりに見た。地団駄踏む人。
かわいい。
「くっそー!もう一回…!最初はぐー!」
その時、少しだけ身体を乗り出して、智くんの唇にちゅっと軽いキスをかました。
可愛くて可愛くて、我慢できなかった。
「!!!???」
「じゃんけんぽいっ!」
「はうっ…」
怯んでへろっとだしてきたのは、パーだった。
「ああああああああああっ…」
チョキの俺は、にやりとその手を智くんの顔の前に掲げた。
「俺のかちぃ…」
「ひ、ひきょうものおおおっ…」