第6章 シュガー・ビート
「キス…」
「ん…?」
唇を付けたまま智くんが囁いた。
「キスって、凄いね…」
ああ…
ああ、ああ
「わっ…」
もう我慢できなくて、俺の上に覆いかぶさってる身体をぎゅううううって全力で抱きしめた。
「ぐぇぇ…く、苦しいっ…」
「智くんっ…智くんっ…」
「な、なんだよおおっ…」
「俺もっ今っ…同じこと思ってたっ…」
ぎゅうぎゅう気が済むまで抱きしめて。
それからくたぁってなってる智くんの顔をみたら、ふにゃあって笑ってくれた。
「…ごめん…なんか、我慢できなかった…」
「いいよ…なんか、嬉しかったし…」
ぼふんってまた、頭の中爆発しそうだった。
「俺も…なんか嬉しくて…智くんと同じこと思ってたっていうのが、嬉しくて…」
「うん…わかったって…」
くたっとしながらも、ふふふと笑って。
俺の頬を撫でてくれた。
「翔ちゃんが、嬉しがってるの見るのも…なんか嬉しかったし…」
うわぁ…もう…
「智くん…?」
「ん?」
「そんな嬉しいこと言って…俺のことどうしたいの…?」
「えっ…ど、どうって…」
ちょっとどもっちゃってるその唇に、またひとつキスをした。