第6章 シュガー・ビート
突然、胸の上でくにゃってなってた体に力が入って。
ものすごい勢いで、起き上がった。
「なっなっ!!??」
おお…大野智が慌てている…
こんな姿が見られるのは、百年に一回くらいの僥倖だろ。
「な、なんつったの!?」
「だから、好きって」
「す!?」
「き」
「は!?」
「だから、好きって…」
「まーっ!待って!待って!待って!」
俺に覆いかぶさったまま、我らが御大である大野智は、今まで見せたことのない狼狽えた姿を俺に晒してる。
ちょお…なんかもう…
すげえ…
堪んないんですけど
目の周り真っ赤にして狼狽えて。
体温もきゅーって上がってきた。
熱いくらいのその体を、もう一度引き寄せて抱きしめた。
「…落ち着いて…?智くん…」
「おおおおおちつけるかっ」
まあ…そうだよなあ…
もしも俺がニノや潤や雅紀にこんなこと言われたら、クリビツテンギョくらいじゃ済まないわな。
ポンポンと背中を叩いて、もう片方の手で頭をなでなでしてみた。
最初はビキーンと固まっていた体から、徐々に力が抜けていくのがわかった。
「…智くん…?」
「ん…?」
まだ声は硬い。
「ごめんね…?びっくりした…?」
「…しないわけねーだろ…」