第6章 シュガー・ビート
スマホの画面をタップして。
智くんに画面を見せた。
「へゃっ!?」
画面を見た智くんは、変な声を上げたまま動かなくなった。
ちらっと顔を上げると、そりゃもう漫画みたいなびっくり顔してた。
「しょ、翔ちゃん…」
「うん」
「こ、れ、は…」
「うん」
「え、あの、あ…れ…?」
ちょっと予想外の反応が返ってきて、俺は興奮してしまった。
あの智くんが、動揺してる。
たかがこんな動画で…
みるみる顔が下から上に真っ赤になっていく。
本当に、漫画みたいに赤くなるんだよな。この人。
「ねえ…智くん…?」
「ぅぇ…?」
「俺、見たいな…」
「へ…?」
「そこの、窓辺に立ってさ…俺に見せてくんない…?」
「は…?」
全く何を言われてるのか理解できないって顔して。
でもしばらくしたらわかったのか、急に怒り始めた。
「なっ…なっ…なんだよこれっ!?なんで黙って…」
「だって邪魔したくなかったし…」
「そっ…だっ…だからってなんで…ろ、録画っ…」
「ちょうどカメラ起動してたんだもん…偶然撮れちゃったんだよ…」
「うっ嘘つけっ!ばっちり撮れてるじゃないかっ…」
「だって…」
「だってなんだよ!?脅迫かよ!?」