• テキストサイズ

カラフルCU【気象系BL小説】

第6章 シュガー・ビート




「いらっしゃい」
「どもども」

一昨年の夏、メンバーと一緒にお邪魔して以来の大野家。
相変わらずシンプルな玄関で、智くんは俺を迎え入れてくれた。

「急だったから、これどうぞ」
「え?いいのに…そんな…」

スイーツ部部長に献上する土産も忘れずに買ってきた。

「わ…ケーキ…?」
「そう。もう夕方だから種類なかったけど…」
「よかったのに。さすが翔ちゃんだなあ…」

ほっこり嬉しそうな顔をして。
受け取ったケーキの箱を大事そうに抱えた。

今日は智くんは仕事がなかったから、髪もセットしてなくて。
ぺたっとした髪で、まるでもう中学生みたいな幼さ。
Tシャツに、ハーフパンツが更に幼さに拍車をかけている。

スリッパを俺に出すと、部屋の中に歩いていった。

「おじゃましまーす」
「はい、どーぞ。洗面所そっちね」
「はいはい」

洗面所にはきれいなフカフカのハンドタオルと、うがい用の紙コップが用意してあった。
案外こういうとこ、気ぃ使いなんだな…

リビングに入ると、これまた一昨年来たときと変わりなく。
紫のソファに、部屋の奥にはハンギングチェア。
統一感のない室内は、それでもなんだか一つにまとまって見える。

やっぱり智くんのセンスの良さなんだろうなあ…

「どうぞ。座ってて。コーヒーでいい?」
「ああ…お願いします」

どすっとソファに座らせてもらったら、ちょっと智くんの匂いがした。

/ 327ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp