第6章 シュガー・ビート
次の日。
久しぶりのステージングで、疲れていたのか。
それともあんな物見てしまった衝撃なのか。
随分と寝過ごしてしまった。
マネくんに部屋まで迎えに来られて焦って準備して仕事に出た。
幸い土曜日で、道も混んでいなかったから大した遅刻にはならなかった。
月曜の生放送のための、リモートの取材をこなし。
半日も掛からず仕事は終わった。
コロナ禍はやや収まってきたものの、どの仕事も最小限のスタッフに最小限の収録時間。
しかも今日は土曜だったから、随分と明るいうちに家に帰ってきてしまった。
いつものようにすぐに風呂場に直行して、シャワーを浴びて。
荷物を持ってリビングに戻ると、スマホを取り出した。
仕事中に思い出したんだ。
そういえば、俺は動画を撮っていなかったか?と。
もう、あんなもの、外で確認するわけにも行かず。
今日は一人きりになるのはトイレくらいで、ベッタリとスタッフさんが一緒だったから、思い出してから随分と焦れた。
スマホを摘んで取り出してアルコールティッシュで拭くと、すぐにスワイプしてアルバムを開いた。
「あ…あった…」
横アリのスイート・ボックス席の薄暗い廊下から、動画は始まっていた。