第6章 シュガー・ビート
荷物を脱衣所に放り出し、すぐに服を脱いで。
風呂場に勢いよく飛び込んで、頭からシャワーの湯を被った。
「ばかだぁぁぁ…俺、ばかなんだぁぁぁ…」
あんな…
あんな卑猥な物だったなんて。
他人のオナニーしてる姿があんなに卑猥だなんて。
思わなかった。
頭をガシガシと、湯を浴びながらまた掻きむしった。
俺は、あんな卑猥なことを智くんと競うようにやってたんだ…
あんな…あんな…
「なんてこったぁ…」
掻きむしった手を、流れる湯もそのままに見つめた。
この手で、あんな…
握りしめて…
あんな秘めやかな、誰にも見せたことのない快感の表情で。
あんな…あんな…
変わるなんて
智くんのあの表情が、脳裏に浮かぶ。
ぞくり
背中を何かが這い上がっていく。
鏡の中の自分が顔を上げて、俺を見てる。
「っ…」
なに、してるんだろ
なんで、こんなことしてるんだ
訳がわからないのに、本能に逆らえず、なぜだか勃起してる自分を握りしめた。
「あ…ぁあ…」
その手が緩やかに動き出したのに、俺は鏡の中の自分から目が離せなくなる。
いや…鏡に写ってる自分じゃなく。
俺が見てるのは…
ガラス窓に凭れて、耽っていた智くんの顔