第6章 シュガー・ビート
「まさか…」
そんな訳、ないよな?
1階の入り口は、今回は客を入れるわけじゃないから、目張りがしてある。
しかし昼間の明るい光がエントランスには入ってきてて、十分すぎるほど明るくて、健全な空間だ。
うちの警備のスタッフがちらほらいるくらいで、今回はエントランス側には用事はないから人の姿もまばらで。
そんなはずはない
こんなオープン空間で
いくらなんでも
そう思いながらも、キョロキョロしながら俺は智くんの姿を探し始めた。
流石に女子トイレの中までは入れなかったが、男子トイレの個室の中まで確認したけど、いない。
2階に上がっても、フードコーナーのあたりはガランとしてて。誰も居ない。
3階もすぐに見てしまって、結局智くんの姿は見つけられなかった。
しょうがないから、3階の客席に入ってみた。
客席の上には、ペンライトが今回は置かれて。
収録中はこのペンライトが灯ることになってる。
さっき、リハでみたけどとてもきれいだった。
そりゃ、ドームでお客さんが持ってるペンライトの比じゃないけどね。
ふと思いついた。
「あ…もしかしてボックス…?」
そういや、今回は使わないから立ち入り禁止とか言われてたけど…あそこなら、可能じゃないか?