第6章 シュガー・ビート
ちょっとだけ…興味が湧いた。
「ねえ…ちょっと俺、外行ってくるわ」
スマホをポケットにねじ込みながらマネくんに声をかけたあと、メンバーにも声を掛けた。
「ちょっと外行くな?」
モニターを見ていた潤と雅紀は仲良く俺を見上げた。
ニノはソファに寝そべったまま手をブラブラと振った。
「気をつけてね~。翔くん」
「どこいくの?コンビニ?それとも他の楽屋?」
「んにゃ。散歩」
「そっかあ。ごゆっくり~」
「帰ってくる時は手洗いうがいね?」
「わーってるよ」
一緒に来ようとするマネくんを押し留めて、なんとか楽屋を出た。
廊下に出ると、人が居ない。
さすがに…いつものコンサートのときと違う。
ちょっとシンとしてる廊下は新鮮だ。
スタッフさんの人数も必要最小限になってるから、ほんと人が居ない。
「さて…どこでやってるかな…」
大部屋で楽屋になってるスペースの付近は、さすがに人が居た。
中からはにぎやかな声が聞こえてくるから、やっぱみんなはしゃいでんな。
空き部屋はたくさんあるから、そういうところの一個でするのは、この状況だったら簡単だろう。
でも…智くんは、そんな簡単な状況で致すほど、甘くはないはず。
なにせ、年季が入ってる。
ジュニア時代からと言うから、相当の変態だ。
俺は20代も後半になってからだったから、随分先輩の智くんには敵わない。
ちらちらと会場に向かう廊下を歩きながら、それとなく空き部屋をチェックして回った。