第6章 シュガー・ビート
そんな中、俺と智くんは…
絶対に人に見つからない場所で、誰にも迷惑をかけずに、家以外の場所で、ひとりえっちの「オナ活」を楽しむという趣味があったのだ。
そんな趣味があるとわかったのは、智くんが一人暮らしを始めた時だから…もう7年も前になるのか。
お互いにバレたのは、ふとしたきっかけだったけど。
それから俺たちは、こうやって密やかな楽しみを報告しあうのが習慣となっていた。
そして、いかに智くんよりギリギリでやれるか…
すごい場所で致せるか…
暇ができると、そんなことばっかり考えてる気がする。
”成長したな。翔!”
初めて褒められたかも…
「っ…ふっ…」
しまった。早すぎる。
なぜか今日は、御大の嬉しそうな顔を思い出して果ててしまった。
正直褒められて嬉しかったかも…
だって、智くんのほうが凄いとこで致してるんだもん。
「3分…って…短っ…!」
「ん?櫻井さん、何か言いました?」
「…いや?独り言」
そのまま何気なくジーパンのボタンを閉めると、ファスナーを上げた。
処理は家に帰ってやればいいから、コンドーム便利。
つけたまんまだから多少歩きにくくはなるけどね。
家に帰るまでほんの短い距離だから、ゆっくり歩けば問題ない。
なんてことを教えてくれたのも、智くんだった。
だから俺は敬意を込めて、彼を「御大」と呼んでいる。