第6章 シュガー・ビート
そう…俺と智くんには、秘密がある。
それは…
帰りの送迎車の奥の席。
いつもの定位置に深く腰掛けて、窓の外を見てる。
カーテン越しに見える夜の街はネオンが綺羅びやかに、車窓を流れていく。
そっと俺は、自分のジーパンのボタンを外した。
マネージャーと運転手さんの様子を伺いながら、そっとボクサーパンツの中に手を突っ込むと、予めパッケージから出しておいたコンドームを装着した。
あんな話をしたから、湾岸の楽屋でのことを思い出してしまって…我慢できなかった。
装着すると、すぐに上着を膝にかけた。
そのまま目を閉じて、最近見たアダルトな動画をなんでもいいから思い出す。
艶めかしい女性の肢体がすぐに目の裏に蘇る。
「っ…く…」
ぎゅっと自分のアレを握りしめ、扱き始める。
そう…俺達の秘密…
ありえない場所でのマスターベーションを楽しむこと。
マスターベーション…ひとりえっち…オナニー
ああそうさ、変態さ。
俺たちは芸能人だ。
若い頃から顔を知られ、プライベートも殆ど衆人環視されているという状況。
そんな環境だから、普通の男女交際なんてありえない。
鬱屈した結果、芸能人は変態な性癖を持つ者は多い。
SMとか不倫が趣味とか…
酷くなるとキメセクとか…そうやって性癖で身を滅ぼす人も多数いる。