第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
まあ…確かに…
結婚してから仕事は続いてたし、お腹にはすでに蓮くんが居たわけだし…全然新婚って感じの甘いのは…
あったはあった、けども…
「ご飯用意してあるよ?」
「あ、うん…局で食べてきたから、じゃあちょっとだけ…」
「だと思って、おつまみ系にしといた!」
リビングに入ると、もう既にテーブルには晩酌の準備ができてて。
「お風呂先に入る?」
「あ、うん。そうしようかな…」
なんて…酒飲んだあとのこともう考えてる俺も…
大概スケベだ。
お風呂から上がってパジャマを着込んでリビングに戻ったら、智くんはソファで居眠りしてた。
腕にスケッチブックを抱えてる。
「絵…描いてたの…?」
そっと手をどけてスケッチブックを取った。
「わ…」
そこには、蓮くんを抱っこしてる俺の姿。
「や…もお…え…や…うわぁ…」
裸のまま、裸の蓮くんを抱っこしてる。
なんだか、ママフォトみたいじゃん…
なんか…とってもとっても神聖な感じで描いてあって…
ちらっと智くんの顔を見ると、しあわせそうに寝てる。
「もお…」
ぷにっとほっぺたを突いたら、ふにゃっと目を開けた。
「あー…翔ちゃん、おかえり…」
そう言って微笑んだ。
この笑顔が…
俺の頑なだった心を溶かしたんだ