第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
「ただいまー」
鍵を開けて玄関に入ったら、智くんが出迎えてくれた。
下でいつも、ぴんぽん鳴らしてから入るから、ばっちりお出迎えしてくれるんだよね。
「おかえり!翔ちゃん!」
「あれ…蓮くんは?」
智くんの腕に抱かれてるはずの蓮くんが居ない。
いつも一緒にお出迎えしてくれるのに…
「寝ちゃった?もしかして…こんな中途半端な時間に寝ちゃったら、夜中起きちゃう…」
って言ってるのに、智くんはニマニマしたまま俺の持ってたかばんを取り上げた。
「…智くん?」
「今日は、世田谷のお義母さんが面倒見るって言って、連れていった」
「はあ?母さん来たの!?」
「きたきた。なんかお義父さんも一緒だった」
「へ?だって今日平日…」
「なんか有給?なんだって」
「うへえ…だからって突然来るなよなあ…」
後で電話しとかなきゃ…
俺が居ないのに突然来たら、智くん困っちゃうじゃん。
「いいじゃん」
智くんは俺の肩に腕を回してきた。
「久しぶりの二人きりだよ?」
「え…?」
「新婚気分、味わっちゃおうよ」
にたっと笑った顔は…
「すけべ…」
「おう。オイラはスケベだ」
認めちゃったよ…
もう…