第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
「…なんで、成長していないっていうのがわかったんですか…?」
インタビュアーの梅田さんは、メガネをくいっと上げると身を乗り出した。
「それは…やっぱり、自分がオメガであることを認められたからだと思います」
「ということは、パートナーである大野さんの存在がやはり大きいと…?」
おお…結構グイグイ来るなこの人…
「大野だけじゃありません。相葉や二宮、それから松本も…メンバーたちがすんなりと俺がオメガであることを受け入れてくれてたから、ですよ」
梅田さんは松本と聞くと、なぜか身を捩ってガッツポーズをした。
「う、梅田さん…?」
「ああ、こりゃ失礼をしました…」
くいっとまたメガネを上げると、姿勢を正した。
「では、周りの方が、櫻井さんに影響を与えた…ということですね?」
「そうですね…俺がオメガなのは、一生変わらないことです。それを否定し続けていたことが、バカバカしかったんだなってね…」
「なるほど」
「認めて…受け入れて、やっと俺は…成長できたんだと思います」
今は、本当に…
自分らしく、そして前を見て。
生きて行けてると思ってる。
「…じゃああの…最後に、これはオフレコで…」
そう言うと、梅田さんはレコーダーを停止させた。
「オメガ性ということで、今回は本当はお聞きする予定じゃなかったんですが…」
「なんでしょう?なんでも聞いてください」
「あの…大野さんは、櫻井さんにとって…”運命の番”だったんでしょうか?」
ふふっと…なぜか笑えた。
「梅田さんはどう思います?」
「私は…そう、だったらいいなって思いました。だってすごくロマンチックじゃないですかっ…あ。すいません…つい…」
「ふふ…そうですねえ…」
梅田さんが、ごくりとつばを飲み込む音が聞こえた。
「伝説ではなかった、ってことだけ…言っておきます」