第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
予想してたよりも、世間の風当たりは…
弱かった。
特効薬ができてからのオメガの活躍もあるんだと思う。
知能や身体能力が劣っているんじゃなく、ヒートの期間が俺たちオメガのネックだったんだっていうのも浸透したからかもしれない。
先人の努力に、今更ながら頭の下がる思いだ。
智くんと結ばれるまでの俺は…
常に自分のこと否定してたんだから。
そんなことしてる暇があったら、オメガだろうとアルファと変わらず仕事ができるってこと、さっさと性別公表して証明すりゃよかったんだ。
「櫻井さん、今日は赤坂入ったら雑誌のインタビューが一本入ってますんで」
「え?まじで。何のインタビューだっけ?」
「オメガ性についてです…これ櫻井さんが受けたんですよ?」
「ああ…今日だったか。わかったわかった」
グラビアは、どうやら仕事中の俺を撮影するらしく、とりあえずインタビューだけ先に行われた。
「…ということは、それまでは櫻井さんは、大野さんとのご結婚まではご自分のこと否定していたということですか…?」
「仰る通り。自信が持てないからこそ、虚勢を張って意地を張っていた部分はありますよ」
「そうは見えませんでしたけどね。いつもスターなオーラ出して、キラキラされてました」
「…そう見えるよう、精一杯力を全振りしてて、自分の内面のこと、全く構ってなかったんだと思います」
「ご自分の、内面?」
「そうです。性別を超えた…人間的な核の部分とでもいえばいいんでしょうか…そういう部分の成長が、全くできてなかったんですよ、俺」