第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
そんなふたりを眺めながら朝食を食べてたら、送迎車がもうマンションの下に来てるって連絡が来ちゃって。
仕事に行く準備を慌ててして。
「じゃあ、行ってきます!智くん!蓮くん!」
いつもどおり、玄関までふたりで見送りに来てくれた。
「おう!気をつけてなー!」
「まー!」
「はあい。行ってきます」
智くんに抱っこされてる蓮くんのほっぺにちゅってすると、智くんも負けじと頬を差し出す。
「俺も俺も」
「ん…」
ほっぺにちゅってしようとしたら、なぜか智くんがぐりんとこっちを向いて。
唇にキス…
「さ、智くんっ…」
「いえーい。今日は目覚めのちゅーなかったから、これで我慢してやるよ」
「ば…ばか…」
「ほら、いってらっしゃい!」
蓮くんの腕をブンブン振りながら、送り出してくれた。
「いってきまーす!」
俺が仕事に復帰してから、智くんは半分育休に入ってる。
グループとしてのレギュラー以外は、全て仕事を休んでる状態だ。
俺が産休と育休で1年以上休んで、今はバリバリと働かせてもらってるからだ。
以前に比べたら、仕事の本数は減らしてもらってる。
産休・育休明けはそりゃもう仕事が目白押しだったけど。
同性のオメガとアルファの結婚はやっぱり珍しいからね。
世界中から、インタビューの申し込みがあったくらいだし。
それももうだいぶ落ち着いてきた。