第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
智くんの作ってくれた朝食は、やっぱり美味しくて。
どうやっても料理の腕が上がらない俺は、頭も上がらない。
「何が違うんだろうなあ…離乳食もさ、蓮くんさ、俺が作ったやつ全然食ってくれない…」
「センスの問題じゃない…?料理の」
「う…」
「その代わり…」
ふふふと蓮くんを抱っこして、向かいに座ってる智くんは微笑んだ。
「勉強は俺じゃ教えてやれないからさ。翔ちゃん頼むよ?」
「そりゃもう…ついでに智くんにも漢字教えてあげよっか?勉強する習慣も、センスだよ?」
「むう…」
気まずい顔をした智くんは、蓮くんを抱っこして。
座ったまま高い高いを繰り返した。
「これ、いい筋トレになる」
「大事なダンベルさんだから、落とさないでよ?」
「おう」
俺が朝食を食べてる間中。
蓮くんは奇声を発し、智くんに高い高いされてた。
よっぽど嬉しかったらしく何度も何度もおかわり高い高いが発生した。
智くんの筋トレは、今日のノルマを超えそうだ。
「もう無理…無理だから…息子よ!」
「んばーーーっ!とと!とと!」
「もう、父ちゃん無理!無理だからっ!」
リビングに敷いてるラグの上に、蓮くんと一緒に寝っ転がってしまった。