第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
「えっ…そうなの?」
「うん。そうなの」
抑制剤には、生殖部分の成長を遅らせる働きがある。
そのせいで俺はまだ体が完全に成熟してなかったようで。
「だから、元気な赤ちゃんを産めるようになったから、智くんにもわかっちゃったみたいなんだ」
「ほえ…ぇぇぇ…すげえな…人間の体って…」
「凄いでしょ?人間って」
「うん!すげえ!」
すごい勢いで俺のこと見て、それからニタニタしてる。
「そっかあ…俺と翔ちゃん、運命のツガイってやつなんだ…むふふ…ふふ…」
「そうだよ。だからさ、智くん…」
「ん?」
「俺、もう…きっと、大丈夫」
「…翔ちゃん…?」
「だって、俺、智くんの子供が産めるんだもん。オメガでよかった!」
そう言って、にっこり笑って横を見た。
そしたら智くんも、にっこり笑ってくれて。
「あったりまえだろ!俺だって、翔ちゃんがオメガで神様にお礼言ったくらいだからな!?」
「ぶっ…神様って…」
「あ、笑うなよぉ…だって…神社行ったから…」
「うわお!神社でお礼言っちゃったの!?」
「わ、悪いかよっ!ロケで行ったんだよっ!」
「…ぶふっ…ふふふ…」
「あっ…翔ちゃん!前っ…今、運転中っ!」
「ぶふふふふふふ…」
「うわああっ!!頼むから前見てくれぇぇぇぇ…っ」
智くん
大好きだよ
俺を見つけてくれて
ありがとう