第5章 ブーゲンビリア-Fseries-

「まさか…気づいてなかった…とか？」

しばらく翔ちゃんは埴輪みたいに口を開けたまま俺の顔を見ていたけど、本当にだいぶ経ってから口を閉じて頷いた。

「…知らなかった…男って濡れないんだ…」
「…翔ちゃんが知らなかったことがびっくりなんだけど…」
「ごめん…時々俺、常識がすっぽり抜けてることあるんだ…」
「翔ちゃんがそんなこというなら、俺どうなるんだよ。非常識の塊じゃないか…」
「や、いや、そうじゃなくってね？」
「ぶっ…ふふ…わか、わかってるよ？」

あんまり翔ちゃんの慌て方が可愛くて、もうにやけちゃうじゃんっ！

「俺…翔ちゃんがオメガだろうがなんだろうが…全然気にならないよ？」
「…本当に…？」
「もお…いつの時代の話ししてんだよっ！俺のこと何だと思ってるわけ！？」
「え…智くん…」
「そうでしょっ！俺は智、おまえは翔なのっ！」

勢いに任せて、えっちの時以外はできない呼び捨てにしてみた。
照れる…むふ…

「それ以外のなんでもないのっ！わかった！？俺の子、産んでね！？」
「えっ…は、はい…」
「ホントだね！？じゃあ結婚しよう！」
「は、はいっ…って、ちょっ…ええええ！？」