第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
「あ…ごめん…俺も黙っててごめんなんだけど…その、翔ちゃんが言わないから、知らないふりしてたほうがいいのかなって思って…その…」
「智くん…いつ…?気づいたの…?」
「え?もうだいぶ前…」
「ええっ…嘘…なんで?」
「いや…匂いが…」
「え……?」
「なんか…翔ちゃん、その発情期?っていうの?薬飲むんでしょ?その時、俺…その、ね?元気に、ね?なっちゃった、っていう、かね?」
なんで恋人に勃起報告しなきゃいけないんだ。
なんか泣きそうになってきたぞ。
「なんで…?薬飲んでたのに…」
「だ、だから…まあ、なんでかは俺にもわからん」
そうだよ、俺のオレに聞いてくれよ!
俺もわけわかんなかったんだもん!
「…だからぁ…ごめんね?俺も言わなくって。…気づいてたし、それに翔ちゃん、ガンガン濡れるし、妊娠するし」
ボリボリと鼻の頭を掻いた。
「いくら俺が鈍くても、気づくと思わない?」
「え…?待って…え…?」
いつもは頭の回転が凄くいいのに、混乱している。
そんな翔ちゃんも新鮮でめっちゃかわいい。
世界一かわいい。
「だって、アルファもベータも、男って濡れないんだよ?」
あって顔したまま、翔ちゃんは固まってしまった。