第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
「えっ…えっ…」
何が起こったかわからないけど、とりあえず後を追った。
「どうしたの!?翔ちゃん!?」
リビングから廊下に出たら、トイレの明かりがついてる。
慌てて駆け込んでみたら、翔ちゃんが吐いてる音が聞こえて。
中から、めっちゃ苦しそうな声が聞こえてくる。
「翔ちゃん!?開けて!ねえっ!」
でも翔ちゃんはずっとドアを開けてくれなくて。
その間、俺はどうしていいかわからなくて、ずっとトイレのドアを叩き続けた。
「ねえ!翔ちゃんっ…開けて!お願いっ!!」
中の物音もしなくなっちゃったから、しょうがないからドライバーを持ってきて、外から鍵を開けて強引にドアを開けた。
「翔ちゃんっ…」
便器を抱え込むようにぐったりしてる。
慌ててしゃがみこんで、背中に手をおいたら、翔ちゃんは顔を上げた。
顔が真っ青だった。
「病院行こうっ?」
「…いや…大丈夫…」
「だめだって!顔色真っ青だから」
「あーあ…晩飯全部出てっちゃった…」
「もう!そんな事言ってる場合じゃないだろ!?」
もう吐くのは終わったらしく、翔ちゃんを立ち上がらせると支えながらリビングまで戻った。
「ねえ…やっぱ病院行こうよ…」