第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
こんなんじゃいかん!
「櫻井さん!すいません、ちょっとオープニングトークの後の段取りなんですが、変更あって…」
「あ、はいはい。どこ?」
ADくんがワタワタしながら翔ちゃんのとこまで走ってきた。
仕切りの翔ちゃんは、それを聞いて頷いて質問までして。
チャキチャキと仕事をこなす。
そんな姿を見ていると、よく俺この人に好かれたなって思う。
こんなだらしない俺とは、天と地…いや、地球と冥王星くらいちがう。
「なによ。どこ行きたいの?」
「ん…翔ちゃんの立ってるとこ」
「は?」
「俺には到底たどり着けない場所だ…」
「そこにいるじゃん…翔ちゃん…」
「遠いよ…」
「…あんた、頭どっかで打ったの…?」
後から気づいたけど、なんも考えずにこんなことを口走っていた俺はニノをドン引きさせていたようで、その後あんまり口をきいてもらえなくなった。
それどころか、収録中俺に無茶振りばっかりするようになって…
とほ…
「なんか今日ニノおかしかったね?」
家に帰ったら翔ちゃんが、そんなこと言ってきて。
仕事のケツが同じ日は、俺の家に遊びに来るようになってて、今日は泊まっていく。むふ。
まさか収録中に俺がえっちなこと考えてたのが原因だって言えなかったから、笑って誤魔化すしかなかった。