第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
「もお…なに?言ってよ。智くん…」
甘えるみたいに体を擦り寄せてきて。
ソファに座ってる俺にもたれかかるように頭を預けてくる。
「なに?ヤキモチ?」
「…うん…」
「えっ!?」
冗談でいったつもりだったのに。
「な、なんで?別に俺とニノは…」
「だって…俺、ニノみたいに智くんの言ってること、上手く汲み取れないし。なんか、羨ましいっていうか…嫉妬するっていうか…」
「あ、ああ…そう、なの…?」
「嫉妬って、羨ましいの裏返しなんだよ…?」
なんでだろ…
俺、こんなに翔ちゃんのこと好きなのに。
それでも翔ちゃんは、ヤキモチ焼いちゃうんだ。
「…ニノのことが羨ましかったの…?」
「うん。智くんが、安心して甘えて我儘言えるニノが羨ましかった」
「えー…?そおかあ…?俺、そんなつもり全然なかったけど…」
「そうなの!!20年近く見てる俺が言うんだから、そうなの!!」
なんつって、口を尖らせてぷいって向こう向いちゃった。
…なんだそれ…激烈かわいいじゃねえか…
「でも…俺が好きなの、翔ちゃんだよ?」
「…知ってる…」
ちらっと俺の方を見ると、またぷいっと向こうを向く。
「じゃあ…どこが好きか言って?」
おお…女みたいなこと言うな…