第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
どうやら…両思いになったらしい
そして、どうやら…翔ちゃんは今から俺の家に来るらしい
「どあっ…うっ…あああ…」
リビングのドアに足の小指をぶつけてしまった。
慌てて家の中片付けてたら、これだ。
「もおおっ…イテテ…」
ひょこひょこ歩きながら、なんとか家の中を片付け終わった頃、翔ちゃんは俺の部屋に来た。
深夜2時のことである。
「ごめん…なんか、勢いで…来ちゃった…」
玄関のドアを開けると、びっくりするほどしおらしい翔ちゃんが居た。
「い、いや…うん…俺、さっき寝たし…だい、じょう、ぶ…」
ぎこちなーく、目を合わせて。
ぎこちなーく、翔ちゃんを部屋に招き入れた。
「あ…」
その瞬間、やばいくらい翔ちゃんからいい匂いがして。
「しまった…」
知らないうちに、自爆告白してしまった衝撃ですっかり忘れていた。
翔ちゃん…オメガじゃん…
しかも今、発情期じゃん…
「…どうしたの?智くん…」
翔ちゃんがリビングの入口から、こっちを振り返ってる。
「い…いや、その…は、入って?」
男、大野智…
耐えねばならぬ。
翔ちゃんがどんなに、魅惑的な匂いを出してても、耐えねばならぬ。
そう、固く心に誓った。