第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
『え…?えっ…』
スマホの向こうの翔ちゃんは、それきり黙ってしまった。
「あっ…ああああああ!ご、ごめごめ、ごめんっ…つい、本音が出てっ…って、いや、あのそのおれっ…俺はっ…」
汗が大量に吹き出してきて。
背中を汗が伝っていく。
もう信じられない程、心臓バクバク言ってるし。
革張りソファの座面と俺の腿が蒸れて、ケツが大変な湿度になっている。
「そのだからっ…嫌いになんて、なってないって言いたいのっ…」
いや、だから、なんかもっと他にマシなこと言えないわけ?俺。
こんなんだから、付き合った人はすぐに居なくなっちゃうし、私と居ても楽しくないのねとか、言われちゃうんだ。
「だからっ…そのっ…翔ちゃんのことが、好きでっ…だからっ…そのっ…」
ちんこだっておっきしちゃうんです!
って、オイ!違うだろ!違うってば!
「いつもっ…そのっ…翔ちゃんのこと考えててっ…だからっ…」
オイ俺っ!それじゃ愛の告白じゃないか!
「ち、違うんだ!その…普段の翔ちゃんだって、俺、すんごい素敵だって思ってて…いつも、凄いなって尊敬しててっ…」
だから、匂いだけじゃないんだ。
俺は翔ちゃんのことが、欲しいんだ。
『俺も…好き…智くんが…好き、だよ…?』
…え…?