第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
『あの、さ…智くん…』
「ん?」
『…最近、智くんさ。俺のこと避けてない?』
「えっ…ええっ…?な、なんでかな?」
『だって…なんかおかしいよ?』
「そんなことない!ない!ない!」
焦って否定したけど、なんか嘘っぽくなってしまう。
口下手な俺はどうしていいのかわからなくなってしまう。
『…智くん、優しいからさ…』
「えっ…えっ…?」
『もし俺が、なんか酷いこと言ったりとか…なんかそういう事あっても、黙ってるでしょ?』
「い…いや、ないから。そんなこと」
どうしよう…翔ちゃんなんかドツボってる…
あれか。発情期ってやつだからか?
ベータの女の人の生理と同じって言ってたから…やっぱそうなっちゃうのかな…?
「お、俺がそんなこと翔ちゃんに思うわけないじゃん!」
『でも、今日だって…なんか話しかけてたのにやめちゃうし…俺に、なんか言いたいこと、あるんじゃないの?』
「だ、だからそれは…」
ちんこがおっきしてしまうからだって、言えない…
『それとも……』
「え?」
『俺のこと、嫌いになった…?』
ち、ちがーーーう!
ちがうってばああ!
むしろその逆で、気になってしょうがないし、近くに居てにおい嗅いでいたいとか、そんなこと思ってしまってるのに…!
「違う…むしろ、好きだ」
そう、そう思ってんの。俺。
って、え…?