第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
手が、ブルブルする。
「ん…?」
いつの間にか、さっきのままの姿勢で寝てしまったらしく。
手に握ったスマホが震えてるので起きてしまった。
「あ、あれ…誰だろ」
スマホの画面を見てみたら、翔ちゃんからの着信。
「うっ…うわっ…」
びっくりして、スマホを落としてしまった。
「いやいやいやいや…ちょっと…」
心臓がバクバク言ってる。
「え?なんで…え?…」
そう戸惑っている間にも、スマホはフローリングの床で震え続けてる。
「あっ…電話なら、匂い嗅がないから平気かっ!」
慌ててスマホを取り上げて、スワイプした。
「も、もしもし?翔ちゃん?」
『あ、智くん…ごめん…起こした?』
「ううん…さっき帰ってきたとこ…」
『そっか。病院、どうだったのかなって思ってさ』
「あ、全然平気だから!なんともないから!」
『ほんとに…?』
「うんうん。だいじょうぶ」
ちんこ以外は、大丈夫!
『今日、本当に様子変だったけど…』
「えー?そ、そうだった?」
『本当になんか変だったよ?』
「えー…?」
だって、翔ちゃんのせいだもん。
『なんか、悩みでもあるの?』
「いやいやいやいや…」
翔ちゃんに近づくと元気になるオレのことなんて、悩んでないからね?