第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
すっきりして楽屋に戻ったら、やっぱり気になる…
っていうか、最近…
わかってきたんだよね。
やっと。
誰が、俺をこんなにするのかって
決まって、メンバーと一緒の仕事の時。
決まって、三ヶ月置きに来る。
その法則がわかって、カレンダーに☆まーくをつけるようになったんだけど。
カレンダーを眺めながら、どんな仕事だっけって思い出してたら、必ず一緒のメンバーが居ることがわかってきて。
それが…
「翔ちゃん…」
「ん?なに?智くん」
「んー…」
俺を見上げる翔ちゃんは、いつもの翔ちゃんなんだ。
だけど、違うんだ。
いつもと違う。
俺の目がおかしいのか、翔ちゃんがたまらなく美味しそうに見えるんだ。
もちろん、いろんな意味で。
今も…また、翔ちゃんの近くに来ただけで俺…
「うを…」
「ん?」
「ん、ううん…なんでもない」
前かがみになって、ごまかさなきゃいけないほど、オレ、元気。
…やっぱ…
そういうことなんだよな…?
俺はアルファで、翔ちゃんは…オメガ。
一回もそんな話したことないけど…
きっと、そうなんだろうなあ…
でもさ。
翔ちゃんが言わないってことは、多分言いたくないってことで。
俺はずっと聞けないでいる。