第2章 ローズ・マダー
「へえ…これがリーダーの部屋かあ…」
この部屋に越してきてから、初めて来る。
大人になってからお互いの家なんて行き来がないから、なんだか家に松潤が居るのが不思議な感じだ。
持ってきた手土産を僕に渡すと、キョロキョロと玄関を見渡す。
その仕草は、少年の頃のままで。
ふと、懐かしさが込み上げた。
「お土産ありがとう。入って…?」
多分、あの話をしにきたんだろうとは思うけど…
僕は敢えて、松潤が来るのを拒否しなかった。
リビングに通して、手土産に貰ったケーキとコーヒーを出した。
「酒のほうが良かった?」
「いや…まだいいや」
まだ…ってことは、長居する気なんだろうな…
やっぱ、説得に来たってことだ。
どこのケーキだか、皆目わからないけど。
とっても美味しいケーキだった。
それを食べてる間は、他愛もない話をしてた。
「このソファが…例の…」
「ん?」
「ベッドの代わりに寝てるんでしょ?」
紫色の革張りのソファを撫でながら、クスクス笑ってる。
「…よく覚えてんね。そんな話…」
「覚えてるよ。絶対身体痛めると思ったもん」
「松潤、そういうの煩いからな…」
「煩いんじゃないの。自己管理」