第4章 シュプリーム
「はい。どーぞ」
そう言っておーちゃんは、俺の手にタオルを持たせた。
「…なんなら、俺の胸…貸そうか?」
はいともいいえとも言ってないのに、おーちゃんは俺の隣にどっかり腰を下ろした。
「ん、いっせんまんえんね?」
そう言うから、笑ってしまった。
「ぶっ…ふふふ…」
「あ、なんならメントスコーラもつけようか?」
「い、いらなっ…」
ふっとおーちゃんは笑う。
笑ったまま…ふんわりと、おーちゃんの腕が俺の肩にのせられた。
ぎゅっと肩を握ると、おーちゃんの方に引き寄せられた。
「ん」
そのまま、ポンポンと。
おーちゃんは俺の頭を撫でてくれて。
人肌が…温かくて…
おーちゃんの、牛乳みたいないい匂いが心地よくて…
またじわりと涙が滲んで。
俺はタオルを顔に当てて、派手に泣いた。
子供みたいにタオルを口に当てて。
ワンワン泣いて。
声が枯れて、鼻がもげるかと思うほど泣いた。
その間ずっと…
おーちゃんは俺の頭をポンポンしてくれてた。
頭のなかに、いろんな映像が浮かんでは消え。
たくさんたくさん、一緒に過ごした時間を思い出した。
教えてもらったこと。
一緒に馬鹿笑いしたこと。
怒られたこと。
褒められたこと。
たくさんたくさん…
遺していってくれたんだ