第4章 シュプリーム
「へえ…」
「ふへ…なんかさあ…ぐうって…胸の奥にくるの…きれいなものって…」
そう言って、ぎゅっと自分の胸のあたりのシャツを握った。
「ウユニ塩湖の空と水面の境目がわからないきれいなのとかさあ…ナイアガラの滝にできるいっぱいの虹とかさ…ああいう大自然の作ったものもさ…ただ見てるだけで、涙出そうになる時あるんだあ…」
またワインを飲んだ。
今度はぐーっと。
「あ…ああ…もっと、味わいなよ…」
「おいちい…相葉ちゃんも飲みなよっ!」
「う、うん…」
グラスに唇を付けて、少し吸い込むように口に含む。
ほわっとアルコールの匂いと、ワインの香りが口の中に入ってくる。
「わ…」
「おいちいでしょっ!?」
「なんか…凄い、口当たりは軽いのに、しっかりワインの味がするね!」
「さーすがまちじゅんだあああ!」
ぐいっとおーちゃんは俺に向かってグラスを差し出してきた。
「へ?」
「ん!」
どうやら注げということらしい。
トポトポといい音を立てながら、ワインをグラスに注ぐ。
「んふー…きれいだなあ…」
おーちゃんは、少年みたいな無邪気さでワインの赤色を眺めてる。
その目が…どこかでみたことがある気がして…