第4章 シュプリーム
さっき、冷蔵庫を見せてもらってたら、合わせ味噌と薬味は揃ってたから、多分できるだろう。
そう思ってたら、おーちゃんが帰ってきた。
リビングの開きっぱなしのドアから声が聞こえる。
「たーだいまー」
「はーい!手をよく洗ってねぇ!うがいもねっ!」
「へーい!」
バタバタと音が聞こえてる。
うがいの、ぐごーって音まで聞こえてくる。
最後に、オエッて聞こえてきて…
「ぶっ…おっさん…」
歯磨きのときもよくなってるもんな…
「あいばちゃーんおまたせ!」
買い物袋を下げて、笑顔でキッチンに戻ってきた。
さっきのオエッからは、とても想像ができないくらいかわいい笑顔だ。
さすがアイドル。
「って、捌きすぎっ…」
まな板の隣に置いた皿の上で、山盛りになってるイワシを呆然と見てる。
「ご、ごめえん…だからさ、これも作らない?」
「ん?」
スマホの画面のなめろうのレシピを見せると、おーちゃんはにっこり。
「これ、いつもの釣り船の船長がよく作ってくれるよ!」
「え?本当?」
「船の上でね…その場で捌いて作ってくれるんだよね…じゅる…」
「ほほう…じゃあ、これも作ろうねっ!」
「うんっ!」