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魔入間短編

第21章 バレンタインデー2022年



ゴホッ、ゴホッ、


今日は、バレンタインデーで、ある。
ゴホッ、

伴侶になるはずの存在と公けに過ごせるイベントのはずだったのに、
なぜ、このタイミングで風邪をひかねばならない!?

…………帰宅して、具合が悪いことに気がついて、
自分なりの対処法を試したが、
気がつけば、特別な日を過ごす相手に看病されていると言う美味しいが、情けなくもある状態になっていた。

「おじいちゃんが、鬼のかくらんだって言ってましたよ。」
「ゴホッ、…あの人が大人しくしていれば、
ゴホッ、…平和に過ごせるのだがな。」
「ふふふ。確かに。色んな疲れが出たんですよ。
ゆっくり休んでください。」
「…………………不甲斐ないな。」
「おあいこですよ。ねぇ?」
「………お前が、そう言うなら。」

不甲斐ないと思った。
風邪ごときでダウンしてしまうとは。
いつでも威厳たっぷりで、頼りがいのある男でいたいと言うのに。

日頃から、体調のことで負い目を感じているミユキが気にしないと言うのなら、
その優しさに甘えるとしよう。

「次は、ゴホッ、何処か泊まりがけで旅行にでも行こう。」
「はい!楽しみにしてますね。」

エプロン姿で甲斐甲斐しく世話をしてくれる幼さの残る
最愛の人に、心の中でリベンジを誓い、
今は、穏やかな時間を堪能しよう。

「あっ、遅くなりましたが、誕生日おめでとうございます。」

イベントばかりに関心がいっていて、
自分の誕生日と言うものに注意が向いてなかった。

「……忘れていた。」
「そうなんですか?」
「……………お前との、…恋人同士のイベントの方が気になって、忘れていた。」
「(〃^〃)」

可愛らしい恋人は、顔を真っ赤にして何も言えないでいた。

「…風邪さえひいてなければ、今頃美味しくいただいていたのにな?」
「か、からかわないで下さい!」

ますます紅葉(赤くなるの意)する恋人に嬉しくなり、
別の意味でのベットの上で過ごすのも悪くないなと思った、
恋人たちの日だった。

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