第22章 誕生日は(2023年2月14日)
今日は、大切な方の大事な日。
貴方が産まれてきてくれたことを喜ぶ日であり、
恋人たちの日。
付き合いだした頃の初々しいあの頃とはもう、だいぶ違ってきたけど、
それでも、貴方と過ごすこの日は、
何時までも大切にしていきたい。
誰かに名前を呼ばれて、目が覚めた。
覗き込む心配そうな瞳。
「……ミユキ、眠っていたのか?」
「…ああ、ごめんなさい。
本を読むつもりだったのに、いつの間にか眠ってしまっていたようです。
お帰りなさい。
ハウェーヤーは楽しかったですか?」
「……何を馬鹿な。
お前と過ごす方が有意義に決まっているだろう。」
出会ってから数年で結婚して、
結婚してからは何十回目かの誕生日。
人間の血が入っている私は、通常の人間よりは老化の速度が遅いと言え、
最近は、ちょっと動くだけでも億劫で、
気がつくと寝ている時間が増えた。
だからなのか、あまり側を離れたがらないしょうがない旦那様。
見かねた元教え子の問題児達が此方の誕生日パーティを開いてくれたのだけど、
嬉しかったはずなのに、ぶっきらぼうに言うのだから。
可愛い人。
招待されていたが、体調面で行かなかった。
だから、慌てて帰ってきたのだろうか?
「……近々尋ねてくるそうだ。」
元同級生達からの伝言らしい。
「ふふふ。
その時は腕によりをかけておもてなししなきゃね。
さあ、まだ、お腹に料理のはいる余地はありますか?」
「勿論だ。
お前が作った物を残すわけが無いだろう?」
揺り椅子から立ち上がろうとした私を抱きかかえ、
食堂へと運んでくれた。
ささやかな2人の時間。
何時までも、この命が続く限り、
幸せなひと時を貴方と共に。
愛しています。
私の旦那様。