第19章 卒業
名前変換無し。
明日はいよいよ、卒業式。
毎日見慣れ、やり慣れた、習慣のようなことがなくなるのは、寂しく思うものだ。
本当に学生だった頃は、早く大人になりたくて、
大人が羨ましく思ったものだが、
いざ、大人に成れば、
ついてまわる、「責任」と言う重し。
暫くは耐えれた重しも、いつ頃かに、ボッキリ折れてしまって、希望のない大人になってしまった。
おじいちゃんに出会えて、
もう一度、やり直せたのに、
この、魔界で生きていく先の目標を見つけられないまま、明日をむかえる。
なんと、情けないことか。
在学中に、告白出来なかったあの人への気持ちも、
明日、学校を卒業と共に、別れを告げよう。
片想いをしていても、もう、無駄なのだ。
だって、聞いてしまった。
カルエゴ先生が、卒業式が終わったら、
結婚するのだと。
肩の荷が降りるから、プロポーズするのだと。
普段、みせない優しげな眼差しで、ダリ先生にそう告げていたカルエゴ先生を、
見ていたくなくて、直ぐ、その場を離れた。
何もかも、遅すぎたのだと。
過ごした時間は悠久(とわ)ではない。
思い出として、残るだけで、現実は動き続ける。
それでも、永遠に過ごしたかった。
貴方が、微笑み返してくれる、そんな、陽だまりの中の永遠を過ごしたかった。
例え、関係が、永久に教師と生徒でも。
貴方と過ごせるなら。
だから、今日だけ、貴方を思って泣くことを許して下さい。
これで、最後にします。
貴方を思って泣くことを。
貴方を思い出して眠れない夜を過ごすのを。
明日で、卒業します。
(恋と言う)支配からの卒業。
20210319