第18章 付き合ってからのホワイトデー
念願かない、はれて、付き合うことになりました。
と、言っても、私は、まだ、学生の身ですので、
形だけの交際です。
手を繋ぐまでの、清い交際。
休日に近場で買い物デートするとか、
博物館デートするとか、
水族館デートするとか。
一切、無しです。
オペラさんが言うには、
「男は狼なのです。
今回は、貴女の強い希望で、カルエゴくんとの交際を認めましたが、
本来は、全く、認められないことなのです!」
とのことで、
2人で何処かへ遠出することはあり得なくて、
手を繋ぐことすら、憚られると。
兎に角、激おこプンプンまる?
とのことで、ちょっと、厳しすぎやしませんか?
と、思っていても口には出しませんが。
寄り添えないのは、
少し、寂しいと思うのでした。
「……今度、休みが取れたら、遠出しないか?」
「えっ?」
自分でも焦れったい関係を維持していたある日、
バラム先生の資料室で、本人が居ないなか、寛ぐカルエゴ先生が、そう、話しかけてきた。
オペラさんの態度から、絶対無理だと思っていたので、
「良いですね。何処へ行きます?」
「此方で行き先は決めても良いか?」
「はい。あ、出来たら、心臓に悪い系と体力使う系は避けていただけるとありがたいです。」
「解った。」
「楽しみにしてます。」
あくまでも、社交辞令だった。
それが、まさか、本当に許可を取ってくるとは。
「予想外です。」
「………苦労したのだ。」
「でしょうね。おじいちゃんより、オペラさんが難関だったんじゃないですか?」
「いや、意外にも、入間が厄介だった。」
「入間が?」
「ああ、そうだ。」
カルエゴside(回想)
色んな下準備は整った。
ミユキの好きそうなもの、興味持ちそうなものを散りばめたデートプラン。
自分も無理のない程度の内容。
自分で組んだスケジュールに、自分で嫌気がさして、
雰囲気ぶち壊してはもともこもなくなる。
本人の承諾は取った。
あとは、最大の難関である、
「保護者」の承諾を取らねばならない。
本当なら、行きたくない。
顔をあわせるのも、ストレスだ。
しかし、彼女を悲しませるのも、強い恐怖でしかない。
腹をくくって、難関をクリアしようではないか。
悪魔らしく、無茶を楽しめ。