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魔入間短編

第15章 薔薇の花言葉



深呼吸して、息を整えた先生は、意を決したようだ。

私の前で、片ひざをつき、魔法で出した花束と、小さな箱を差し出した。

「ミユキ、俺と結婚してくれ。」

耳を疑った。
先生が、ぷ、プロポーズをしてくれた。

まさか、そんな。
こんなことって、あるんだ?

半信半疑。

動きをとめた私を先生が心配そうに見上げる。

「駄目か?」

まさか、バビルスの番犬が、子犬みたいに見える。

驚きのために、声を咄嗟に出せなくて、
しきりに、頭を横に振る。

みるみる顔色が悪くなる。
ああっ、ああっ、違う、駄目、じゃないの!

「……カルエゴ先生、本当に私でいいんですか?」
「ああ。お前だから良いのだ。」

涙が、溢れる。
憧れていた人から、好きだった人から、
欲しかった言葉の何百倍も凄い台詞をもらった。

「左手を、」

言われたまま手を差し出す。
先生は、小さな箱から指輪を取りだし、左手薬指にはめてくれた。

「返事をくれ。」
「は、い。不束者ですが、よろしくお願いします。」
「ああ、大事にする。」

ギュッと抱き締められて、カルエゴ先生の胸に顔を埋めた。
脈動は私と同じぐらいにドッドッドッドッと震えていた。


もらった花束には、一輪、枯れた薔薇があって、
その他に107本束ねられていた。

108本で、
「結婚してください」
って、意味らしい。
1輪の枯れた白い薔薇は、「生涯を誓う」

会場の飾りつけの薔薇も、意味があって、

999本ある黒と紅色に緋色の薔薇は
黒は、「貴方はあくまで私のもの」「決して滅びることのない愛、永遠の愛」
紅は、「死ぬほど恋焦がれています」
緋色は、「灼熱の恋」

本数には「何度生まれ変わってもあなたを愛する」
があったらしい。

全てが終わってから、オペラさんが教えてくれた。
準備を隠すのが大変だったと言っていた。
いつ、おじいちゃんが、ばらすかヒヤヒヤだったとも。
そのおじいちゃんは、部屋の中で、ずっとビデオを回してたらしい。
気がつかなかった。

もうひとつ。
666本は、魔界での意味合いで、
「魂すらも焦がれるほど愛おしい」
と言う意味だと。
これは、バラム先生から教えてもらった。


何があっても、この人となら、大丈夫だろう。

私を魅了した悪魔。

貴方に、ついていく。

何があっても。

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