第12章 プロポーズの日
6月の第一日曜日はプロポーズの日らしい。
人間界に居たときに、そんな話を誰かから聞いた。
そもそも、6月はジューンブライドと言う季節で、この時期に結婚すると、幸せになると言われる。
が、何かで読んだ話によると、
この6月はゼウスの奥方のヘラが守護する月であるとのこと。
私としては、嫉妬の代名詞であるヘラが守護するこの月に結婚して、幸せ平凡に過ごせるとは、中々に信じられないのだけど。
日本の記念日などは、大概が、商業目的が絡んでくるので、何とも言えない。
まあ、信じて幸せになれるなら良いのでしょう。
で、どうしてこうなった?
今、私は抱き抱えられて、空を飛んでます。
早いもので、もう、今年は6年生の年。
皆、進路に向かって舵をとっている真っ最中。
学校に滞在するのも、もう、限りある。
バラム先生に進路をどうするのかと聞かれた。
実際は、色々と考えているが、迷っているし、自信がなくて、尻込みしてる。
そんなことをバラム先生に話せば、
「……今日の夜に個別進路指導をするってカルエゴくんが言ってたよ。」
「…………はい。」
そんなこんなで、指定場所に行けば、
「別の場所に移動する。」
とか言われて、現在、輸送中。
大分飛んでるんですが、何処へ行くのだろうか?
先生の顔を真下から見上げる。
進路に迷ってる理由に、カルエゴ先生との関係がある。
正直、私達は、お互いの気持ちを知っている。
たまに買い物に行ったり、デートの様なこともする。
メールでやり取りをしたり、長電話をして、些細な事を話したり。
もう、ずっと友達以上、恋人未満な関係が続いてる。
お互いの気持ちを知ったのは、何時だったか?
お互い、はっきり言った訳じゃなくて、何となく相手の気持ちに気がついた感じ。
そして、何となく、なにも言わずに、お互いに寄りかかってる感じ。
何度か恋人ではない関係にモヤモヤしたこともある。
でも、それも、喉元過ぎてしまえば、気にならなくなってしまっている。