第6章 ホワイトデー
カルエゴside
つい先日、シチロウからチョコの返しはしないのかと問われた。
「…入間くんが、ミユキちゃんにお菓子を貰ったから、お返しを用意するんだって言っててさ。」
「……それが、俺にどう関係ある?」
「あれ?ミユキちゃんにお菓子貰わなかったの?」
「…………貰ったが。」
「じゃあ、お返しあげようよ。」
「…お前、また何か、お節介しようとしてるのか?」
最近、ちょくちょくとこうやってミユキの事で絡んでくる。
ウォーターパークの後ぐらいからか。
こいつに気持ちを知られたのが不味かったか。
「いやー焦れったくてさ。」
「……人の事を心配してないで、自分はどうなんだ?」
「僕?……良いの?僕が本気出したら、君の可能性は失くなっちゃうかも?」
「!?まさか、」
「……冗談だよ。ミユキちゃんは、僕にしたら大事な妹みたいなもんだから。
でも、彼女は人気者だからさ。
それに、好意に鈍いから、しっかり意思表示しとかないと他の奴にとられちゃうよ?」
「……ああ、」
一瞬、シチロウがライバルかと思って肝が冷えた。
家族以外で一番近しい存在のシチロウなら、あっという間にあいつを陥落させられるだろう。
……ダメだ。それは、絶対に。
友と愛しい存在を一気に無くすなど、考えたくはないが、恐ろしい。
バレンタインとかの時も焚き付けられたが、今回も焚き付けられた気がする。
それでも、どこぞのゴミにかっさらわれるなどあり得ないが、そうなる前に、あいつを囲いこんでおくのも手だな。
「待っていろよ、ミユキ。」
悪魔学校の門番、ナベリウス・カルエゴは獲物の獲得に牙をむくのだった。
怖。