第6章 ホワイトデー
3月のお雛様を過ぎた頃、
バラム先生から何気に聞かれた話題。
「この前、チョコをくれたよね?」
「はい。そうですね。」
「あれって、何か、対になる行事とか有るの?」
「……有るには、有ります。」
「何で言いにくそうなの?」
「…理由は、バレンタインで貰った相手にありがとうを返すからです。」
「それで言うのを躊躇った理由は?」
「……催促するみたいなのが嫌で、」
「そう?返したきゃ返すでしょ?そんなに考え込まなくても。」
「…そうですね。」
ミユキはここで終わった話だと思っていた。
せいぜい返ってきてもバラム先生からだけだと思っていたのに、ホワイトデー当日、入間を皮切りに、バレンタインにあげた相手から次々とお返しを受けるはめになった。
原因は、入間からの伝染。
入間が私にお返しを考えているのを知ったクラスメイト達が、理由を問いただし、趣旨を知ってしまった為に、起きたちょっとした騒動。
「この前のお返しに、」
花やハンカチ、お菓子に化粧品、本や髪飾り、バッグ何て物もあった。
まあ、バッグはおじいちゃんからのプレゼント何だけど。
紙袋はバレンタインの時に配ったぶんよりも大きく膨れ上がっていた。
「そんなつもり(見返りが欲しくて、)で渡したんじゃ無いんだけどな。」
ちょっと落ち込んだ。
「もらえるもんは貰っとけばいいのに。」
「でも、申し訳なくて。」
「……考えすぎなんだよ。皆、君の事好きだから、お返しをくれるんだって、考えてよ。」
「……はい。」
「僕からはこれね。」
「ありがとうございます。」
「そんな、申し訳ないって顔しないの。喜ばせたいんたから、もっと、嬉しそうにして?」
「…はい。」
ぎこちなく笑った顔は、少し悲しげだ。
「そう言えば、カルエゴくんには遇った?」
「いえ、まだです。朝に顔をあわせてからはお会いしてません。」
「そっかー…」