第4章 ふわふわの綿菓子のよう
「えっと、これは……?」
「旦那の目を見てビビッと来てよう、勢いで作ったんだが……なかなかの出来だろう?」
簪には金と青緑の宝石が散りばめられ、それでいて豪奢過ぎず、とても美しい作品だと思う。
「凄く……綺麗です……まるで小芭内さんみたい」
「俺はこんなに綺麗ではないが」
「綺麗ですよ!綺麗で……美しくて、繊細で…」
「はは!気に入って貰えたならそれ、やるよ」
今、なんと?
「この間の詫びだ。受け取ってくれや」
「で、ですがこれ高いんじゃ……」
「旦那の目を見せてもらったんだ。お釣りが来る」
またも小芭内さんと目をパチパチさせた。
しかしせっかくのご好意だ。無下にするのは逆に失礼と言うもの。
「では、有難く受け取らせて頂きます。
……ありがとうございます」
「済まない、恩に着る」
「良いってことよ!ま、何か装身具が必要ならウチで宜しく!ってことでな!」
小芭内さんと顔を見合わせてふふっと笑う。
「はい!」
「ああ」
最後に店主に「お幸せになー!」と手を振られた。