第4章 ふわふわの綿菓子のよう
手を繋いで歩いていると、
「おや?そこの別嬪のお嬢さんと美丈夫は……以前の若夫婦かい!」
装身具店の店主に声をかけられた。
前と店を出している場所が変わっている!
不味い。この店主には小芭内さんが虹彩異色症であることがバレているのだ。
「あ、えっと……」
「旦那さんの方は済まなかったね、この間は。何やら不快な思いをさせちまってよ。あと、目。すげぇ綺麗だったよ」
眩しいくらいにニカッと笑われて、私と小芭内さんは顔を見合わせて目をパチクリさせる。
小芭内さんの目は普通の人が見たら怖がり気味悪がる。日本人で虹彩異色症なんてそもそもいないからだ。
「あの、店主さん。ありがとうございます。そう言って頂けると、主人も胸の内が柔らぎます」
「いやいいんだ!良いもん見せてもらってこっちも幸運だった。あ!そうだそうだ」
店主はそう言うと、ゴソゴソと袋を漁る。
そして、何やら簪を取り出すと私に渡してきた。