第1章 甘い?甘くない?……やっぱり、甘い
「誰から、というか、普通に風の噂でも聞きますし、師範を見ていたら分かりますよ?だって蜜璃ちゃんの前での師範、とても可愛らしいですから」
それに蜜璃ちゃんとは文通しているし、贈り物だってしているじゃないですか!と付け足して言うと、師範は目を逸らしながら「フーーーーー」と長いため息をつかれた。
「え、と。何か違っていましたか?」
おずおずと尋ねると、師範は私を人睨みしてから
「何もかも違う」
と言って立ち上がり、私と正反対の方向を向いてしまった。
何もかも違うだと!?
ならば蜜璃ちゃんの前での師範は一体なんだと言うのだ。どういうことだ。照れ隠しか?!