第1章 甘い?甘くない?……やっぱり、甘い
「先程も言いましたが、師範は誰よりも優しいです。それは、蜜璃ちゃんも分かってます。」
「何故そこで甘露寺……?」
「……?」
師範が首を傾げたので、私も首を傾げる。
「なぜって……師範、蜜璃ちゃんに恋をしているのでは……?」
私がそう言うと、師範は目を見開いて……
……椅子から落ちた。
「だ、大丈夫ですか!?師範!」
変な落ち方したんですけど。いや、本当に。なんで背もたれに持たれて座っていたのに前にむいて転げ落ちるんだ。
この人本当にかわいいな。
──かわいい。
ああ、この人はかわいいのだ。
だって─┄私の初恋の人だもの。
「お前……誰から聞いたんだそれは……」
師範は椅子に手を置いて顎も乗せる。
初めて見る師範の子供っぽい所だった。