第1章 甘い?甘くない?……やっぱり、甘い
「しかし……」
「それに、師範は醜男なんかじゃありません。少なくとも私から見たら、どんな殿方よりも、強く、凛々しく、優しく、とても格好良いです!」
「!?」
またもや師範の動きが止まった。
私はまた何か師範の気に触ることを口走ってしまったのだろうか。
「し、師範?また私、何か失礼な事を……」
「いや、いい。大丈夫だ問題ない」
師範が手を立てて掌を私に向ける。
これ以上何も言うなという合図だ。
師範の羽織から手を離すと、師範ももうあの店主の元に戻る気は無いらしく、私の隣にススス……と座った。